大、中、小泣き

父が亡くなってから告別式が始まるまで誰も泣かなかった。
私は生まれて始めて自分が取り仕切る葬儀を、担当者に言われるままに一つ一つこなしていくのが精一杯だった。

何も知らなくてもわからなくても事は進んでいくものだ。
家族葬とはいえ、父にまつわるエピソードをアナウンサーが喋ると言うので、生前の趣味とか性格などを口頭で簡単に述べた。

湯灌という作業も始めて目の当たりにした。
三十前後の女性と四十前後の男性が、大きなバスタブを畳みの上に持ち込み、父の頭や体を綺麗に洗い、顔にはパックまで施して綺麗に死化粧をしてくれた。
そして女性が父の口腔や鼻に綿花を詰めて、まるで父が微笑んでいるような顔に仕上げた。

お通夜の終わった夜は母とオットと三人で、父が眠る葬祭ホールの一室で泊まった。
お風呂からミニキッチンまで付いて、まるで旅館のようだった。

翌日の午後からの告別式までの間も、一旦家に帰ったりと忙しくしていたが、そんな間も母は全くいつものように過ごしていて、部屋にあったマッサージチェアで居眠りなんかしていた。

やがて告別式が始まり、例のアナウンサー嬢が暗い声で父にまつわるエピソードを語り始めた。
それは上手に作られたもので、また語り口調も素晴らしかった。

その時、私の隣りで母が「くっ、くっ」と変な声を出したので、喘息の発作でも出たかと思ったら、なんと母が泣いていたのだ。
最初は堪えながらだったのが、そのうちにオンオンと泣き出した。

今の今まで素知らぬふりでいたのに、アナウンサーの語りがよほど母の心に響いたのか。
結局母は出棺まで大泣きを続けた。

大泣きをしたのはその時に一度、中泣きは先日の駅でのぽろぽろ。
誰かがお参りに来ては父の話をしながらグスンと小泣き、これは何度か目撃した。

そして今、本日のお参りの方の報告と通院の報告の電話あり。
すこぶる元気な声だった。
娘は胸を撫で下ろした。


☆今日のまかない
厚揚げと野菜の小鍋
じゃこおろし

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★寒くなりました。
ベスト、マフラー、手袋と順に小物が登場しております。
今日はこんな日だと、スーパーのチラシで知りました。
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Commented by わさお at 2014-11-05 18:51 x
葬儀屋さんは、至れり尽くせりです。父の時も、最後の挨拶をどう言えば良いかと考えてましたが、例文を渡され、暗記してそのまま話したのを覚えています。
Commented by 所長 at 2014-11-05 19:51 x
涙を流すことで、一つ一つ思い出を心にしみ込ませておられるのかもしれません。
私が死んだとき、嫁さんは泣いてくれるのかな、、、
Commented by 白州 at 2014-11-05 21:57 x
僕は男ですが、父親の危篤を異国で聞いて風呂場で、母親の時は出棺の時の友人の声掛けで、一度だけ大泣きした記憶があります。
何かの拍子に大泣きするんだなぁと、思ったものです。 中泣きは有りませんね〜
Commented by anatatoyu at 2014-11-06 06:51
>わさお君
ほんと、至れり尽くせり!
始めてだから感心しました。
ってか何回も付き合いたくないけど。
仕事とはいえ、大変な仕事と思います。
Commented by anatatoyu at 2014-11-06 06:53
>所長さん
男の人って、みんなそこのところが気になるんですね。
白州さんもよくそうおっしゃいます。
まあ、それは生前の行いが大事でしょ。
今からでも遅くない…
若干遅いかなあ(笑)
Commented by anatatoyu at 2014-11-06 06:55
>白州さん
テレビ見て小泣きは多いのでしたっけ?

ってか、生きてはったんですかあ??( ̄▽ ̄)
by anatatoyu | 2014-11-05 15:53 | 母のこと | Comments(6)

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