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対(ペア)

朝食の用意をしていて、食器棚の扉を開けたとき、ある事を思い出した。



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2012年 年末
母の事故の後、実家の片付けを始めた私たち。
今考えても、なぜあの時あんなに片付けをしたのだろうと思う。
まるで何かに取り憑かれたように片っ端から捨てた。

一番は外傷性くも膜下出血で頭を何針か縫った母が、まさか今のように回復するとは思わなかったからだと思う。

退院後に自宅に帰れるかどうかもわからなかったが、継ぎ接ぎだらけで段差の多い古い家で一人で暮らすのは困難だと考えて、平屋で手頃な借家にでも引越しさせようと思ったから片付けたのだった。
そして何よりも父と長年暮らした家で母一人で暮らせるか…と。


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26年前
私が結婚して大阪で住んでからは、私が実家に帰るよりも、両親が大阪に来るほうが多かった。
神戸生まれの母は都会が好きだったし、両親もまだ若かったから、大阪に来た両親を連れて私たちもあちこち旅行をするのがいつものことだった。


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2008年秋
父の右足に骨腫瘍が見つかり膝から下が人工骨になった。
それから父は歩くのが不自由になり、大阪に来ることもできなくなり認知症も進んだ。
私たちは毎年父の誕生日とあと一回、実家に帰るようになった。


実家の片付けを始めた頃、普段使いの食器を入れてあった引き出しの中を見て、私は胸が痛んだ。

ほとんどの食器が対(ペア)だった。
何でも買うのが好きだった母が、父と二人の食卓にと色違いや柄違いの対の食器をたくさん買ってあったのだ。
二人で喧嘩しながら食事をしていた様子が想像できたり…
本当はその時その対の食器を捨ててしまおうと思ったが、捨てられなかった。


父の居ない家で母一人暮らすようになって丸二年が過ぎた。
ほんとの意味の一人暮らしはまだ四ヶ月。
いや、今は父の遺骨と二人か…


そして我が家の食器棚…
対(ペア)_b0327247_15514928.jpg


手相が当たれば、私亡き後オット一人で三十年生きることになる。
もう何年も食器を買うことはなかったから、この先も買わないつもりだけど…
なぜ今頃そんなことを思い出したのか。



☆今日のまかない
ナポリタンスパゲッティ
卵とキャベツのサラダ
対(ペア)_b0327247_15515023.jpg



★昨夜から少し体調が悪い。
朝起きにみぞおちが痛んだのも始めてのこと。

昨日もボウズだった。
この一週間で三日も。
厨房で6時間も座り続けたら体も悪くなるだろう。

売り上げがないことなんか、ちっとも辛くない。
私は経営者じゃないもの(笑)

何が辛いってボウズの夜の帰り道、繁華街でいる酔っ払い達の多いこと。
うちの数少ないお客さんは誰一人、今夜はうちのことを思い出してくれなかったんだなってこと。

最悪、たった一人でも来てくれたら、店を開けて良かったなと思える。
今日はこの人のために店を開けて良かったなって、自分を慰める術も覚えた。

そう思いながら店を続けて来たんだもの。
それでいつまで続くかなんて、私にはわからないけど。

今夜はどうかな?

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by anatatoyu | 2015-03-04 15:51 | 暮らし

ふつうの暮らしのふつうのご飯、日々の出来事綴ります。


by ゆう