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介護バー

うちはもともと、お客さんの平均年齢の高い店だった。

それはマスターが独立前に居た店が、ある会社の社員クラブだったせいもある。
私が大阪で知り合った人達、開店のお世話になった方々もうんと年上だった。

オープンしたての頃は、マスターの先輩達も私の知り合いも現役だったから、飲みに出る機会も多く、うちの店にも十分貢献していただいた。

だけど、店が静か〜になるのに、さほど時間は掛からなかった。
三年後くらいから、皆さん年齢通りに順番にリタイアされて行ったからだ。
近くに来たら寄るよ、と言ってくださっていても、最初は月一がやがて半年に一になり、今ではお元気だろうかと心配するようになった。

どうしたもんじゃろのう〜と思っているところに、自分達の親の問題が勃発して、店は大阪介護事務所となった。
大阪は両方の実家の中間地点であることに加え、自営業は時間が自由になるのも都合良かった。


不思議なことに、その頃に現れたのがヘビースモーカーでお髭のOさんだった。
昔の常連さんのご紹介。
普通なら頻繁に飲み歩かない年齢のOさんは、当時まだ現役だったので毎日飲み歩いていた。

そういう人には、そういう人が集まるもんで、Oさんが引退した現在でも、うちは不良高齢者が集まるようになり、また一気に平均年齢が上がった。

健康のことを考えてお酒は薄め、歯のことを考えてお漬け物は薄く切る。
店は介護事務所兼介護バーになった。
まさに現代の縮図のようだ。

もう一つ、最近不思議だなあと思うことがある。
開店当初の常連さんが、ひょこっと現れるのだ。
10年以上ぶりという方もおられる。
もちろん皆さん七十を越えておられる。

頑張って店を続けていて良かったというか何というか…
また降り出しに戻ったのか?
私達とてあと何十年も商売できる訳じゃないので、今度こそお客様と共に去りぬ…となる予感。。


☆今日のまかない
鰯の蒲焼き
ツナマカロニサラダ
ぬか漬け
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先輩達の若い頃の話は、私達が知らない時代の話。
それを聞くのは楽しいが、やがて彼らも足が遠のき、訃報が耳に入るようになることも覚悟して置かねばならないと思うと、胸がチクッとなる。

by anatatoyu | 2016-06-24 15:40 | 店のこと

ふつうの暮らしのふつうのご飯、日々の出来事綴ります。


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